第九話  その男。


今回は、前回紹介した
namiさんの手記からはぢまります。
本人未許可のまま、紹介します!
(※一部加筆訂正ありバージョンです。)


(※このnamiさんのメッセージは、この年代記を書いていた頃にいただいた…、
そう2003年頃にいただいたものだったと思います)




○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
昔を懐かしんで…、
この『年代
記』読んでます。
あの時自分はどう考えていたのか、
どう思われていたのか、
そして、いまもなお…、
ピュアな気持ちを
持ち続けているのか。


なんか…周りのみんなが成長してたとき
(自分も成長期だった頃)
純粋に…狩りが楽しめて
いつもわくわくしてて…。
狩っている時もリアルでドキドキしながら、
一生懸命だったなぁって。
(いまもみんなと狩りいくの、楽しいけどねw)
 

すごく親近感持てる人たちと…、
いっしょにUO出来るようになれて、
とってもよかったぁ〜って実感します。
 

私のサポート術は、
ある意味…独学かな?
私が最初のギルドに入隊する前
(まだ、フォードさんとは会ってないですね)、
その頃はもっぱら一人で狩り行ってて。
仲間を回復とか…ぜんぜんなかったし。
というか…孤独(涙)。
一人だったしね><
 

そんな時にZAKUさんという方(※お友達です)
よく同じダンジョンに来てた。
話しかけたのは、向こうのほうからかな?
私はまだUO慣れてなくて。
 人との関わりが不安で、
なかなか発言できなかったの。


そして。
最初のギルドに入ってからも、
スキルが中途半端で、
みんなについていくのやっとでした。
人を助ける前に自分を守れていなかった。
 

別段教えてくれる人はいなかったし、
人に教わるものでもないと思ってました。
あ、これはプレイヤースキルのことです。
 

貴方と一緒に行動するようになってからですね。
この人を守りたいという気持が生まれたのは。
常にお互いのHPバーだして、
赤い文字(毒メッセージ)に気を配ったり。
 

ブレスは相手に掛けてからすぐ、
自分にもブレスをかけて。
それによって相手(戦士さん)がブレス切れたとき、
私のブレスも切れてるので、すぐさまブレス掛けなおしで
継続的なブレスを心がけてた。
(気づいていたかなぁ…?)
 

だから・・貴方に
「ブレスはいいから、げどくぅぅぅぅ!」
って言われてたの覚えてる(笑)。
ごめんね〜、解毒おくれてたかも…。
 

あとは…インビシかな?
相手がほんとにやばくなった時のインビシ、
でも…これって、
タイミングが難しいのよね(涙)。
 

私の場合は、
私のマナがなくなりつつあるとき多用してたかな?
グレーターヒールじゃ、追いつかないくらい、
助ける人のHPがなかったとき(笑)。
 

んー・・・。
なんだかんだいっても
私のサポート、へたぴだったと思うよ(涙)。
死なせたくないって気持ちは、
常に持ってたけどね…、って
今もだよ!
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


ナミさん、どうもでしたm(_ _)m。
なかなか読ませる文章ですね!
(※偉そうなコメントで、すいません…)


これを読んで
「ナミさん!イイ!(・∀・)」
と思われた方は、BBSにその思いをお書きください(苦笑)。


では、
今回の話を進めるとしましょう。






 
「狩りかい?」
フォードは、返事をします。
唐突に狩りに誘う、この戦士…。
今までに
見たことのないキャラクラター名です。


「そう、狩り。いこうぜ。連れて行ってくれよ」


正直、
「ちょっと怪しいなあ…」
という気持ちがフォードの中を駆け巡ります。

素振りや話しかけ方から見ると、
こっちを知っている様子が伺えます。


それに…、
今までこうやって私から誰かに声をかけたことはありますが、
かけられたことはないので、
なおさら違和感があります。


ン…?
ってことは、なにか?
俺は常に人から、
怪しく見られているんだな(涙)。
そ、そうだったのか…、
と内心動揺していました(苦笑)。


「怪しい」とは思ったものの、
実際暇だったので、
一緒に狩りに行くことにします。
さらに、
そこにいた何人かの人たちがこの会話を見て、
加わることになりました。
※この辺、詳しくは覚えてません…)
 

行き先は、
イルシェナーの霊性・ブラッドダンジョンになりました。
ここはZAXの手伝いをして血エレ狩りにも行っていたので、
勝手知ったる…という場所です。





実はこの少し前…、
前回話したHP「GO!」の影響からか、
フォードはタイマン斬りを目指し始めていました。
レジも水エレの魔法攻撃で上がるようになり、
確か、80台にはなっていたはずです。





タイマン斬りの最初の成功は、
OLです。


ある日、デスパイス3Fに降りると…、
そこには何故かOLがいました。



通称OL、
正式名称・オーガロードです。
魔法は使いませんが、
物理攻撃が半端じゃなく強く、
何も考えないで突っ込んでいくと、
あっという間に「あぼーん」(※死ぬ、の意)。


ヒットポイントもアホみたいにありますので、
1人で倒すとなると、
非常に時間がかかります。



確かにデスパイスにはオーガロードが出現しますが、
それは通称「OL島」と呼ばれる場所で、
3F入り口からはかなり遠い場所です。
ここまで来ているだなんて…、
昼休みですか、OLさん…?


この時までにOLと戦ったことはありますが、
その時には必ず魔法使いがサポートでいてくれました。
まるっきり一人で戦うのは、
はぢめてです!


「逃げようか…」
という気持ちも芽生えましたが、
誰も周りにはおらず、
モンスターさえもいない絶好の環境です!
「ようし、初タイマンだ!」
PCの画面を見ている私本人も非常に緊張したのを覚えています。



実際戦ってみると、
OLの破壊的な一撃には心底驚きました。
一撃食らってしまえば、
瀕死に近い状態になります。
ダメージを食らったからといって、
いつものように周りから誰かが魔法で回復してくれるわけでもありません。


包帯を巻き、
自分でグレーターヒールの魔法をかけ、
何度も何度も攻撃を仕掛けます。


この時、
タイマンの難しさを知りました。





戦士が一人でモンスターと戦う時の心得としては、
HPを満タンにして、
ヒット&アウェイで戦う…、
本当にそれだけなのですが、
これが意外と難しいです。
(※この戦法は、当時は、と言い方がふさわしいと思います。
戦い方は時代によって変化していくので…今では全く違う方法が編み出されていると思います)




特に危険なのは、
相手のHPバーが真っ赤になった瞬間、
トドメを刺す時でしょう。
HPバーが真っ赤…というのがクセモノで、
実際には残量HP数値はかなりあるかもしれないわけです。


UOの場合、
敵キャラ(それはモンスターでも、プレイヤーキャラクターでも)をクリック&ドラッグすると、
HPバーが出てきます。
これを見ながら、
敵のHP残量を見て戦うのですが、
この残量、
HP「バー」なので、実際数値としてどれくらい残っているかは、
全くわかりません。


せいぜい目安になる程度で、
言うなれば「HP割合バー」みたいなもんですから、
当然、
強いキャラと弱いキャラではその意味合いは全く異なってきます。


強敵であればあるほど、
これはそう言えます。
AoS以降、
攻撃した時のダメージ数が表示されるようになりましたが、
それまではそういう仕様がなかったわけですので、
どれくらいダメージを与えているのかもわからず、
あと何回で相手を沈めることが出来るのか、
それこそ経験でしか知りえませんでした。


だからこそ、
HPバーが真っ赤になった時、
「もう少しだ!」
と焦って突っ込んでしまい、
相手に大ダメージを喰らって死んでしまうこともありました。


ここ、ポイントです。
相手のHPが減ったからといって、
ダメージ数が減っているわけではないわけです。

HPが減って変化しているのは、
スタミナだけです。


モンスターにもスタミナが設定されているので、
スタミナが減れば攻撃速度だけが落ちます。
なので純粋な攻撃力は瀕死状態でもHP満タンでも、
一切変わりません。






この初タイマン戦は、
三十分ほどかかって勝ちました。
本当に、
何とかやっと勝てた…、
というのが実感でしたね。
今では考えられない時間ですよね?(笑)。
どういう装備で戦ったか…、
よく覚えていないのですが、
確か「特効」はなかったと思います。
(※「特効」…ある一定のモンスターに対してダメージを2倍にする「特別効果武器」のこと)

そしてこの勝利は、
私に大きな自信を与えてくれました。


嬉しくなって、
ヘイブンで会ったZAXに早速報告します。



「ZAX!聞いてくれ!」

「あ、どうしたの?フォード?」

「お、俺さ、一人でOL倒したんだ!」

「本当?やったじゃない!すごいよ、フォード!」

「そ、そうかな?結構苦戦したから、まだまだだけどさ」

「ううん、そんなことないって。あたしが言ったとおりでしょ?」

「え?」

「フォードは強くなってるんだって!」






今までフォードの成長を見守ってくれていたZAXに、
そう言ってもらえたのは何よりの勲章でした。
そして、
更に自信が深まるのを感じました。


このOL撃破が自信につながって、
ドラゴン撃破、
赤閣下撃破、
毒エレ撃破、
血エレ撃破と、
フォードは一気に戦績を上げていきました。





そんな中、
ある日、久しぶりにZAXと狩りに行きました。
既出どおり、
ZAXは血エレ狩りに篭っていたので、
二人で出かけるのはずいぶんと久しぶりです。


この時、
ZAXからタイマンの戦績を聞かれ、
どうしてタイマンをすることになったのか…、
そのきっかけである「GO!」さんのHPの話をすると、
黒閣下狩りにいこう、
という話になりました。






今でこそ、
黒閣下も中クラス並みのモンスター(?)になりましたが、
当時は最強の部類です。
黒閣下、
古代竜、
影竜、
骨竜、
これら四匹のモンスターには、
ブリタニア四魔
という呼び名がついて、
その強さが知れ渡っていた頃の話です。





そんな黒閣下を倒しに行くというのですから、
ZAXにしても、
フォードにしても、
初めての経験です。
とりあえず、
用意万端にして出かけます。


しかし、
この時何を思ったか二人は、
ヒスロス入り口から
黒閣下の間までいくことにしました。

無謀ですよね…。
それまでまともに黒閣下と戦ったことのない二人が、
ヒスロスでの黒閣下に戦いを挑むとは…。
更に二人とも、
ヒスロスをまともに攻略したことがありませんでした。


攻略をしたことがない、
ということはダンジョンの構造自体を良く知っていない、
ということです。


これが初攻略になったわけですから、
当然のように苦戦しまくりです。



今はそうでもないのでしょうが、
ヒスロスというダンジョンは、
ロングと並んで不人気な狩場の一つでした。
その理由としては、
危険度が高い割りに『おいしくない
ということが挙げられると思います。
戦利品として獲られるものが少ない、
ハイリスク・ローリターンということですね。



結果から申し上げればこの黒閣下戦、
全滅で終わりました。
やったことのある人はわかると思うのですが、
ヒスロス最下層は最悪なダンジョンです。
属性抵抗が高くないと、
あっという間に囲まれて死んでしまいます。
(※腕に覚えがある方は、そうではないと思うのですが…。しかし、勇気と無謀は違うのですよ!)



この時は属性抵抗はなく、
まだAR(鎧による物理ダメージ軽減)とレジだけでしたが、
テイマーのZAXのレジはそもそも上がっていなかったので、
フォードよりも簡単に死んでいました。


それを必死にフォードが蘇生しようとするのですが…、
そうしようにもガーゴイルが邪魔をしますし、
黒閣下も放っておいてはくれません。
ZAXのナイトメアも死んだところで…
退却することにしました。


二日後、
イルシェナー霊性のブラッドダンジョンにも黒閣下がいることがわかり、
(※ZAXは入り口手前の血エレ部屋でしかやっていなかったので、
黒閣下の存在まで知らなかったのでした!)

早速乗り込みます。
さすがに環境はヒスロスと比べ物にならないほどラクだったため、
その時は二人で力をあわせて撃破に成功しました。
ZAXの連れてきたドラゴンの影響も強かったのですが…。


こうして、
フォードは順調に戦績を伸ばし、
(一人ではない場合もありましたが)
黒閣下撃破の経歴までを、
この時点で持つようになっていたのでした。





話を戻します。

Ryoとフォードを含めた数人は、
 
(八人はいたと思います)、
血エレを倒しに、
うまくいけば黒閣下まで倒そうということになりました。





このRyoのすごいところは・・・、
前に話したとおり、
金色の弁髪、
白Tシャツ、
青いジーンズ(ズボン)、
そして手に金色のハルバード、
それだけで出かけようとしていたところです!


つまり鎧を着ていません。
そんなんでいいのか…?、
と、こっちが心配するほどです。
 
この時期のUOは、
鎧によってDEXがダウンする仕様だったので、
彼の武器、ハルバードのことを考えれば、
振り速度うんぬんなどから、
この考えはあながち間違っていません。
 
しかし、
AR4=物理ダメージ数1が軽減状態
の世界ですから、
鎧があったほうがいいに越したことはないです。
当然、フォードもバリバリのプレートメイルです。
DEXはかなりダウンですが、
命あってのモノダネです。
フォードの場合、ARは確か50以上あったと記憶しています。





さて。
ブラッドダンジョンに着きましたが・・・。
いきなり、
回廊に黒閣下が待ち構えていました!
誰かが連れてきていたのでしょうか…。


この予想外の事態に、
周りがバッタバッタ死んで逝きます!(涙。
これまで、
自分よりも強い仲間と出かけることが多かったので、
この現象には驚きました。
 

逆に言えば、ヘイブンで集めた仲間ですから…、
この現象は普通かもしれません(涙。
少なくとも当時は、
ヘイブンにそれほど強い人はいなかったような気がするんです。



 もはや、パーティーは右往左往する状況です。
連携も何もあったものではありません。
単騎で突っ込んで行っては死んでしまう、
そんな場面の繰り返しです。

そんな中、
必死に蘇生をするフォードと、
金ハルを振るうRyo!
仲間の装備は結構、
黒閣下にルートされてしまったので、
死人ローブ状態で待機してもらいます。


そして仲間を安全なところに隔離すると、
2人のコンビネーションで、
黒閣下と、他のメンバーがわざわざ連れてきた血エレ(涙)を
なぎ倒しました。



 
自分としても、
腕がある程度上がっていたので、
Ryoの強さも理解できました。
「これほどとはな…Ryo…。一体、何者だ…
鎧もないくせに・・・」

と内心うなったものです。
生意気ですね、私(涙。
 




さて…、
狩りが終わって、ヘイブンに戻りました。
みなと戦利品の分け方をします。
なぜかこのとき、
ヘイブンの楽器屋さんで、戦利品わけを行ってました(汗。


一通り戦利品分けを終わって、
皆が解散した頃…
Ryoが話しかけてきました。

「フォード」
「ん、なんだい?」

「オマエ、強いな」

「なんだよ、急に(笑」


そう言われて、
フォードもまんざらでもありません。
今まで会った人で、
素直にそう言われたことはなかったのです。
喜ぶのが…道理です。


「お前の方こそすごいよ、Ryo」

「そうか?」

「鎧ないだろ?」

「ああ、これは俺のポリシーだよ」

「すげえよな」
「ハルバード使いたくてさ。ゼロディレイするために、DEX75は必要だしなぁ」
(※ゼロディレイ…この当時あった戦闘テクニックで、DEX75以上の場合、相手と交差する際にダメージを与えられた。今ではDEX数値に関係なく出来るはずです)
「いや、なんていうか、呼吸があってたよな」
Ryoが言います。

「ああ、それは俺も思った!」
フォードも明るく答え、しばし、2人で談笑します。


これまで自分と適度に同じ程度の
戦士の仲間がいなかったので、
フォードとしてもすごく嬉しかったのです。
 

「Ryoは、普段は誰かと一緒に狩りをしてるのかい?」

「いや・・・俺は1人さ」

「…そうか」

「俺はな、フォード、
仲間ってヤツが足手まといに思える」

「・・・?!」
この台詞にはショックを受けました。

「今日もな、俺とオマエだけだったら、
あんなに手こずらなかった」
「そんなことないさ」

「本当に、そう思うか?」
 

この決定的な質問で、
私はRyoの本質を知ってしまったような気がしました。
そして、自分とは究極のところで合わないなあ…
とも感じたことを覚えています。

 

「ああ、思うね」
ためらわず、フォードがそう答えます。

「そうか・・・、でもな、あんな状態の中で、
蘇生をしているお前は大変そうで、
正直、まどろっこしかったぜ」


「俺には、そういうのが似合っているのさ」
Ryoのきつい追求を苦笑いでかわすフォード。



 
「いいや、俺はそう思わないね。
オマエはもっと強くなるよ。
1人でやったらな
 
なにか、釈然としないものを感じながら、
とりあえずその日はRyoと別れました。
 




UOの世界には、
本当にいろいろな人がいるのだなあ・・・
と、しみじみ思いました。


Ryoは確かに軽い装備で強敵を倒すほどの腕だったが…。
そういう考えをもって、1人で狩りを行う人もいるのか…。
じゃあ、何のためのMMORPGなんだろう?


確かにフォードも1人でタイマンをするようになりましたが、
それはそれ、
皆と狩りをするのも楽しい、
と思っていました。


そんなフォードの前に現れた、
自分とは全く違うプレイスタイルを持つ、
Ryo


「まあ、そういうヤツもいるかぁ」
そう独り言を言って、その日はログオフしました。


その後、
Ryoとは何度か狩りにいくようになりました。
やはり、腕はいいです。
明らかに今までのフォードの戦い方とは違っていて、
フォード自身の戦闘の参照になりました。
ただ、その鎧の薄さからRyoの死亡率は高く、
フォードがフォロワーになることが
多かったのも事実です。


その間、
他の何人かの仲間とも、
一緒にRyoがいることもありました。

そのほとんどの時に、
フォードも一緒に出かけました。


最初の狩りほどRyoが全面的にそういう関係を否定することは
ありませんでしたが、
やはりその行動には、「仲間」という意識は少なかったかのように私の目には映りました。
その分、フォードが生き残って、
仲間のフォローに回ることが必然的に増えました。


これも、私のプレイヤースキルを
上げる一因になりました。
団体行動、パーティープレイで、
全体を見る余裕が出来てきたのです。
 
Ryoは私を好敵手と認め、
私もそう思い、
一緒に旅をするようになっていました。
 






しかし。
それも長くは続きませんでした。
またもや、
試練がフォードを襲ったのです。

to be continued...

 
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