第四話  一週間。


ついに…、
私のPCは沈黙しました。
そのときの、私の苦悩、
皆さん、察してください。


翌日は日曜日とは言うものの、
会社で一泊二日の合宿研修会の予定が朝から入っていました。
よって、何をするにしても、
二日後にしか対処出来ません。
パニックに襲われていましたが、
それは揺るがない事実でした。


翌日の予定を考えると、
早く休まなくてはなりません…。
私がどれだけ悶々とした思いで、
ベットに潜ったか…





しかも問題は、
UOのそれだけではすみません。
PCが破壊されたということは、
それまでのPCデータが全て
ロスト
した可能性が大、
ということでした。


私はそのノートPCをビジネスにも趣味にも使用していたので、
一切合財データが消えてしまった可能性が高いわけです。


バックアップ?
そんなもん取ってません(涙)。





時間が、
亀の歩みのように流れました。


・・・。



さて、
迎えた月曜日。
合宿研修会だったために、
午前中で仕事から解放された私は、
とにもかくにも、
PCを修理しにいこうとします。
できれば…の話ですが(汗)。


向かったのは、
「はぢめてのUO」を購入した、
例の店です。


店に駆け込んで、
店員さんにいろいろチェックされて、一言。
「これは・・・無理ですね。
HDがやられてますね」

 
まぢかあああああああああああああああああああ(涙)。
 あんた、本当にチェックしたかああああああ!?
と叫びたかったです…(血涙)。


しかし。
落ち込んでいる暇なんぞありません。
現実を見据えねばなりません。
UOどころか、
PCがなくなっては仕事にもかなりの支障が出ます。
無くてはならない物なわけです…。


10秒だけ迷った私が発した言葉は…、
「あの…PC、ください」
 
まーさーに、
即決即断速実行。
買いました。
もちろん、ローンでね(>_<)。





買ったはいいけれど、
更に問題が待っていました。
それは…
セットアップ。
実は、
その頃は、
一人でセットアップした経験が皆無でした。


最初のPCは、
会社の上司と一緒に買いに行って、
その方が詳しかったので、
一緒にいろいろいただいたため、
ほぼ何もしていない状態です。


しかも困ったのが、
OSが違う!(涙)
ということでした…。


初代ノートPCを買ったのが99年の冬でしたので、
そのOSはWindows98SEだったのです。
しかし、
二代目を購入したのが2002年5月。
主流OSは、WindowsXP。


それまでのWindowsシリーズのヴァージョンアップと異なり、
はぢめてXPやられた方はわかると思うんですが、
慣れるまでに
そのやりにくいこと、やりにくいこと(涙)。
それでも、
一刻も早く元の環境に戻りたくて、
必死に取り組みました。
 

結果・・・・・・・・・・。
3時間もかかったさ(涙)。



 

一番の問題はネット回線の設定で、
当時ISDNだったんですが、
そのISDNのマニュアルがWin98対応の説明しかなく、
XPに対応している説明がどこにもなかったんですね。


ちなみにこの時住んでいた家は、
2004年6月に解約しましたが…、
最後の最後までISDNでした。
ADSLや光回線を通そうと思った頃に、
引越しをずーーーーっと考えていたので、
変えなかったんです…。
本当にずっと考えてたな、引越し(笑)。
その割に、全然引っ越さなかったけど!(爆笑)。


なので、
引っ越し前の私のUOライフは、
全てISDNで行っていました。
ISDNだって対人してたし、
DOOMだって、
PSだって行ってたんだぞー、
と声を大にして言いたい!
UOだからこそ出来る話なんですけどね…。
これが他のネットゲーでは、
動くどころか起動すらままならない状態だったでしょう…。


もちろん、
今は無理だと思いますけどね。





話を、
二代目PCの回線設定の場面に戻します。


とにかくISDNをXPで設定する方法が、
マニュアルには載っていません。


何かで調べないと…、


方法はあるはずだ。
繋げる事が出来ない、
とは思っていませんでした。
ただ、どうやって調べるか…?


午前中で仕事を上がったのがここで裏目に出てしまい、
友人連中に聞こうにもみんな連絡が取れない状況です。
そりゃそーですよね、
平日の真昼間なわけですから…。


そこで急遽、
プロバイダとアナログ電話回線の契約を行い、
そこからネットに入り込み、
NTTのHPからISDN接続方法を検索することにしました!
良くぞ、
そういう知恵が閃いたものです(涙)。
いかに必死だったか、
忍ばれます(汗)。






初期設定を行い、
回線を繋ぎ直し、
まあ明日からの仕事で最低限使える程度に復旧させた後…、
ようやくUOを再インストします。


こうして考えてみると、
「はぢめてのUO」を購入してから毎日ログインしていたブリタニアの世界…。
たった一日入れなかっただけですが、
何だか無性に恋しくなりました。


はたして、
ZAXはどうしたのだろう…。

そのことだけが気にかかります。





ようやく、UOが起動しました。 
そんなフォードがどこでログインしたかというと…
Shameの真っ只中(汗)。
 そーなんです。
まさにあの状況で、
そのまま落ちていたのです!
よく生きていたモンです…。


ご存知の通り、
UOでは宿屋/酒場や自宅でログアウトしないと、
5分間はその場に居続けることになります。
フォードがこうやって生きていたということは…。


しかし場所が場所だけに、
現実がフォードに考える暇を与えてくれません。
即座に土エレとサソリが反応して、
フォードに襲い掛かってきます!
こりゃヤバイ!
とばかりに急いで外に逃げ出します。


そしてとりあえず、
前に
ある方にいただいたHavenのルーンと、
リコールスクロールを使って帰還することにします。
貴重なリコスクですが…、
背に腹は返られません。





無事、Haven到着。
さて戻ったはいいのですが…。
どこに行けばZAXに会えるのか、
皆目見当もつきません。


あの時の状況では、
明らかに、
私が勝手にいなくなったと思っているはずです…!
 迷惑もたくさんかけてしまったし…、


とにかく会って話がしたい!
その気持ちでいっぱいでした。


必死になって、
今まで一緒にいった場所を駆けずり回ります。
しかし、
今までZAXの開けたゲートに入っていただけですから、
実際にどこに行ったのか、
そしてその場所はなんと呼ばれているかなど、
まだよくわかっていないフォードです。


かろうじてデスパイスとシェイムはわかりますが…、
実際一人で行けるのはデスパイスだけですし、
そしてそこにはZAXは居ませんでした。





そうこうしているうちに…。
私は途方にくれて、
とりあえず、
スキル上げをしておこうと考えました。
『ZAX探し』は、
あまりに手がかりがないので、
このままでは徒労に終わって、
時間だけ無駄にしそうだったからです。





この段階で私にとってのスキル上げとは、
ズバリ
戦闘をすることです。


リコール移動もままならないわけですから、
その戦闘出来る場所は必然的に限られてきますが。
主な戦場は、
@Haven:リザードマン
AHaven:墓場
BHaven:エティン
Cデスパイス

くらいなものでした。
まだyoungだったわけですから、
選択肢の幅が狭いのは仕方ないものです。


今思えば、
かなり時間がかかってyoungを卒業をしたんだなあ、
と思います。
人それぞれでしょうし、
得た情報次第でしょうが、
この頃の私はスキル上げのイロハもわからず、
そのうち育つんだろうなあ、
という感覚しかありませんでした。





さすがにHaven内は飽きていたので、
少々手間がかかってもいいやーというわけで、
ダッシュでデスパイスに向かいます。


リコールは使いません。
もったいないから。
リコールするにはスクロールがないことは既出どおりのフォードですが、
さらにそのスクロールを入手する方法がイマイチわからなかったのです…。
この頃はまだPCベンダーなどという存在は、
さぱーりです。


いまどき、
考えられないですよねえ(苦笑)。





デスパイスへの行き方。
@Havenゲートで、Britainゲートまで行く。
Aそこから走って、Britainへ。
B銀行を目指し、そこから北へ向かう。
C迷いながら、北へ向かって走りデスパイス到着。
 これを全て、「徒歩」でこなしていました。
「徒歩」ですよ!?(笑)


まあ、でも苦言を呈せば、
こういう積み重ねって大事だと思います。
徒歩移動って結構、
土地勘もつかめますしねぇ…。
とにかく必死に走りました。
途中でトロールに遭遇して、
瀕死にもなったのはご愛嬌で(汗)。





そんな感じでデスパイスまで来て、
毎日、
1Fでリザードマンと戦っては帰還する、
という日々を繰り返していました。
帰るときくらいはRecallしようかな…とも思ったのですが、
これまたスクロールがもったいないので、
結局走って帰っていました。


のちに…、
私が積極的にヤング&ヤング卒業したてての方々に、
ご協力させていただく背景には、
こういう経験があるからかなあ…と思います。
わかってさえいれば、
無駄が省ける部分を、
早い段階で省いておくのは大事かなあと。


その一方で、こういう経験をされたほうが、
後々役に立つと思ったりもするんですけど…ね(苦笑)。
まあ何事も、
「おんぶに抱っこ」だけでは成長はないと思います。





全くの余談になりますが。
パブ16が導入されたその日に、
はぢめてフェルッカに行きました。
ボス湧きを見たかったのです。
その日に
赤に狩られました…(涙)。
しかもダンジョンの外で。
場所はデスパイスでした。


幽霊になった私は
半分混乱しながらも、
幽霊になったまま、
デスパイスから
走ってBritainに逃げました。


もしもヤング時代に走ってデスパイスに行っている経験がなければ、
そうやって走って帰ることも出来なかったと思います。





さて。
ZAXを探してはぢめて、
早4日目。
いつもどおり、
Britainからデスパイスに向かうその途中で、
フォードは、
またまたUOで忘れられない出会いをします。






家々が並ぶ街道を走っていると、
向こうから…
なんと!!!
赤い名前の人間が来るではありませんか!
こ、これが、
赤ネーム、
PKだな!!!
そう恐れながらも、
戦闘態勢をとって積極的に攻撃を仕掛けます。
なぜか近くには、
2人のPC(プレイヤーキャラクター)がいて
普通に話をしています。
彼らを守らなくては!!!
いきなりフォードを、
正義感が包み込みます(爆笑)。
しかし、所詮はヤング。
相手の攻撃をバシバシ食らいます。
包帯を必死に巻くものの、
まだまだスキルが低いフォードです。
攻撃を食らえば、自然に手が滑ります。
治療すらままならない…!


そんな瀕死直前、
話していた人々がGH(グレーターヒール)を唱えてくれました。
しかも、
「がんばってー」と声をかけてくれるではないですか!
フォードの心に去来するのは、 
…じゃあ、手伝ってくれ(心の声)。
そんな切ない思い(涙)。





そうは思いながらも、
とりあえずは撃破です!



「ふう・・・PKめ!」
と発言するフォード。





もうお分かりだと思うのですが、
この時にフォードが倒したのは赤ネームNPC、
ブリガントというやつです。
最初見ると、
PKに見間違えてしまう…のは私だけでしょうか?(汗)





すると…、
「あれ、フォードさんじゃないですかー」
と近くにいた人から声をかけられました。 
よく見ると、
なんと、それはあのRicottaでした!
思わぬ再会に感激もひとしお。


しかもよーく見ると、
なんとyoungタグがありません!
既に追い越されたフォード…。
まあこの時は赤NPCを倒した興奮で、
それにすら気付いていなかったんですけどね(苦笑)。





そしてこの時Ricottaに紹介されたのが、
メイサーのBessieです。
Ricottaの冒険仲間で、
二人で一緒に狩りに出かけている、
とのことでした。
女の子同士、
気が合ったらしく、
和気藹々という感じでした。


とにかく人との会話に飢えていた私は、
一も二もなく、
PCが壊れたことや、
ZAXと離ればなれになったことなど…
話しまくりました。


一通り話を聞いたRicottaは、
「ZAXさんなら、Havenで見かけましたよ」
という言うではありませんか!


「ほ、本当かい!?」


「ええ」


これは意外なところで、
手がかりがつかめました。
Havenにいれば、彼女に会えるわけだ…!
やっと少し希望が見えました。





とりあえずその場は二人と話をして、
一緒に狩りに行こう、
という話になりました。
一人で狩りをしていた私は、
嬉しさのあまり飛び跳ねそうです(笑)。


行き場所は、
彼女たちが最近よく狩りにいっているという、
例のShameです!
因縁の場所ですが…、
ここ数日の狩りの成果で、
私もかなり強くなっているはずです!
今度は大丈夫のはず!
PC近くに飲み物も置いてませんしね!(汗)


一旦Britainに戻り補給した後、 
Ricottaが出したゲート(!)に三人でくぐります!





Shame潜入開始。
ここで、
いきなり目の前にサソリが出てきます。
RPGでサソリといえば…、
そう、毒。
とりあえず斬りかかりますが、
予定通り…、
毒を食らいました(汗)。
即座にRicottaに魔法で解毒してもらいながら、
そういや、解毒の方法を知らないと死ぬな…」
と思うフォード(汗)。



この間、
Bessieは果敢にアタックを続け、
寄って来る土エレやサソリからフォードとRicottaを守り続けます!


強い戦士っていいなぁ…」
と痛切に感じたことを覚えています。

この世界でメイス(鈍器系)という武器が
どれほどの威力なのかは全く知らなかったので、
モンスターを難なく倒している彼女を見て、
メイスは剣より強し?
とさえ思ってしまうフォード。





一通りシェイム一階を回ったとき、
「ん? あの黒いゲートはなんだ?」
とフォードが気付きます。


「あれは二階への入り口なんだけど…」
と、
イマイチ調子の悪いRicottaの返事。
Bessieも気乗りしないような素振りです。


「だめですよ、フォードさん。あそこは危険です」
「なぜだい?」

「魔法を使ってくるモンスターがいるからです!」





魔法を使ってくるモンスター…。
こりゃ、
血がたぎる
シチュエーションだ!
(アホ)
 好奇心旺盛なフォードは、
行きたがらない2人をせかして、
とにかく行ってみよう!と主張します!

 
なにせ、
魔法を使ってくるモンスターなど、
見たことがありません!
ぜえええええったい、見てみたい!


そんなフォードのわがままっぷりに観念したのか(笑)、
二人も入るだけなら…という条件付で来てくれることになりました。
 




しかしこれは…、
大無謀です。
なぜにそうなのか?
この頃の魔法攻撃というのは、
全て魔法耐性(レジ)スキルでダメージを軽減する仕様だったので、
レジが無ければ話になりません。


で。
この段階でフォードのレジは、
(もちろん)習ってすらいなかったので、
なんと0。
AoS以降のシステムで言えば、
youngキャラが鎧もなしで魔法攻撃を受けるようなもんです。





そんなこととは露知らず、
フォードは何も考えなしに黒いゲートをくぐります!
するとそこには…、

こんな見慣れないモンスターが二匹も!
言うまでも無く、
初心者キラー・風エレです!


「な、なんだこれは!?」
初めて見るモンスターに戸惑いながらも、
必死にアタックしようとするフォードですが、
いきなり魔法の洗礼を浴びてしまいます!
びー!!
(※効果音)。
エナジーボルトを食らってしまいました!
 HPがたちまちなくなります!


さすがにあの二人が、
怯えていただけはあります!


よおし、
こうなったら…!
撤退(涙)。
今までやってきた狩りはなんだったんだろう…、
そう思わされるシーンでした。
RicottaとBessieも風エレとは戦おうとはせず、
すぐさま1Fに戻ってきました。
今思えば、
二人のスキルもさほど高くはなかったと思うのですが、
当時の私は、
あの2人を、
ここまで追い詰めるとは・・・!
と思っていました(汗)。
 

とにもかくにも、死なずに帰ってこれました。
二人にお礼を言って、
Havenに帰還します。
もちろん、Ricottaの出してくれたゲートで帰ります(笑)。
※この頃は、Havenでしかログアウトできないと思っていた(汗)。





Havenに着くと、
Misakiさんに出会いました。


Misakiさんはコンパニオンの方で、
UOをはぢめて二日目に出会った方です。
その後も、よく声をかけていただいて、
フォードのUOライフに多大な影響を与えてくださったコンパニオンさんです。


2011年現在、
コンパニオン制度は既にありません。
私は残念だなあと思うのですが、
そもそものプレイヤー人口の減少を考えれば…
やむを得ないのかもしれません。


MisakiさんにShameでの出来事を話すと、
ステータス、スキルをあげて、
レジも上げないとこの先の冒険は難しい…と諭されます。


まだまだUOは難しいなあ…と思いつつ、
最後にZAXの話をします。
これまでの経緯と、
もしどこかで出会ったら、私が探していると伝えてください、
とお願いしました。


Misakiさんと別れてから、ふとある思いがフォードの胸を去来します。
「もう会えないんじゃないか…」





 そして。
あの日から、
一週間が過ぎ去ろうとしていました。


to be continued...
 

 

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