第二話  そして冒険は、始まった。


アカウント取得後、
一時間で死亡しやる気をなくした、
新米戦士フォード・ダイン。
いや、
正確にはそのプレイヤー。


まず、呆然としました。
呆れました。
一体これはなんちゅーゲームだと、
文句たらたらです(笑)。


とりあえずは画面右上の×をクリックして閉じ、
(当然、ログアウトなどというものは知らない)
その後、何をやっていたかと言うと…
Yahoo!チャット…(涙)
結局、それかよ…(笑)。
わかりやすい方に、現実逃避してしまいました。
そして気がつけばお昼時になったので、
ご飯を食べました。
がぶがぶ。



しかし。
ここで食い下がっては、
ゲーマーの名が廃ります。
やはり、どんなゲームでも出来なくては!
と思い、
お昼ご飯を食べて落ち着いてから、
再度チャレンジしました。
再ログインした時、
目の前に飛び込んできたのは…!
灰色の画面。
バグですか…?
そう思いましたよ、本気で…(涙)。
これは先ほど死んだままで「落ちた」ので、
まだ蘇生をしていなかったから…ですね。


なんかよく見ると、
自分のキャラのグラフィックも違うし…。
(※幽霊になっている)


なにがなんだかわからず、
とりあえず、
目の前の家らしきものに入ろうとします。
※ヤングで始まったプレイヤーは、
 死ぬと自動的に、
ヘイブンのヒーラー小屋に転送されました。
 蘇生後、荷物も問題なく持っていました。
現在の仕様はちょっと不明ですが…。




 しかし…。
この家のドアは、
どうやって開けるのだ…?
ドアをダブルクリックしたり、
説明書を(やっと)見たりしますが、
一向に開く気配がありません。


その後、問題なく、
ドアをすり抜けたのは言うまでもないです(汗)。

幽霊なんで、当たり前ですね。
 

とにもかくにも、復活。
しかし先ほどまで装備していた鎧や剣がなく、
何だか見慣れない灰色のローブを着ています。
「なんだ、こりゃ…?」


これはさすがに、
取説をある程度読まないと、
話にならないなぁ…、
とこの段階でやっと思います。


画面をそのままにして、
「はじめてのUO」についていた
ガイドブックを読み始めました。



このガイドブック、
その後たびたびお世話になるのですが、
はっきり言って、
最初の段階では
何がなんだかわかりませんでした(涙)。
よく出来ているんですけどね…。
読み込まないとダメってことです(笑)。


「はじめてのUO」は年毎にバージョンアップされ、
毎年新しいものが出ているようなので、
私が読んでいたガイドブックはもはや存在しません。
今出ているものの方がわかりやすいかも…ですね。
ちなみに私が購入したバージョンは、
UO:Rの2D仕様です。
LBRですらなかったわけなので…、
おわかりでしょうか?
なんと、
イルシェナーにすら
行けませんでした。




さて。
イキナリ死んでしまった原因を考えます。
これは間違いなく、
@戦闘方法を知らなかった、
A回復方法を知らなかった、

これに尽きます。


ガイドブックを読み込んで、
戦闘方法と回復方法を調べます。
正確には、
それしか調べていません(汗)。



「なになに…、回復には包帯が必要…へえ…」
包帯を巻いてHPを回復する、
という画期的なアイデアに驚きつつも、
まずはこの「包帯」なるものを探し回ります。


UOプレイヤーの中には、
他のゲームをあまりしないという方も結構いらっしゃるようなので、
一応補足させていただきます。


普通のRPGでHPを回復する方法というのは、
●魔法、
●薬(=POT)や薬草
●宿に泊まる
の三つが普通です。


包帯を用いて回復するなど、
聞いたこともありません。

どれほど私が驚いたか、
お分かりいただけるでしょうか?


※実は、包帯はキャラ作成段階でバックに入っていたのですが、
 それが包帯とは全く気づいていませんでした(笑)。



まずは、包帯探しの旅。
しかし、
結局説明書も「戦闘」と「包帯」の部分しか読んでいないので、
ヘイブンの街なみがどうなっているなど、
わかるはずもありません。
ただ走り回るのが関の山…。


ヘイブンの街の配置を熟知するのに、
かなりの時間がかかった記憶があります。
ブリテインに至っては…今でも怪しいかもです(笑)。
だからたまにGMイベントで、
「徳の寺院に行け!」
などと言われると、
すごく困ります(笑)。



このヘイブン探索の間にも、
前回話したとおり、
時々、なぜか勝手に歩き出す(涙)。
(※オプションをいぢっていないと、デフォルトで"Pathfinding"という意味不明な機能が働く)


あの機能、絶対いらない…。
今でもそう思ってます。
意図せずに走ったり歩いたりするので、
ストレスがたまりまくりでしたね(笑)。



さて。
再開して、20分。
何も進んでいません。
包帯らしきものがどこで売っているかもわからず、
かといって街の外に出れば死んでしまうし…。
今回という今回は、
本気でイヤなり、
道端で剣を投げ捨てました(!)。


しかし、
20分でこれでは…、
かなりのへたれですね、
私は
(汗)。


この段階で、
ペーパードールの機能だけは偶然わかりました。
バックの中にカタナを戻して、
また持たせて…。
もうやることがわからないので、
やっていることといえば、
その程度でした(涙)。


それも飽きたので、
道端に剣を置いてしまったわけです。


そこはどこかというと・・・。
この場所、知っている人はいると思うんですが、
ヘイブン鍛冶屋通りをまっすぐ北に走って、
左にパン屋さん、右に音楽堂がある、
その十字路でした。



 …もしも。
そこでフォードが剣を投げ捨て、
立ち止まっていなかったら、
私のUOライフは
全く違ったものになっていたと思います。




「あー!もう、いやだー!」
と画面内で、叫ぶフォード。
実は、これが最初のUOで発した会話でした(笑)。
何となくキーを打っただけなんですが。
内心、
「あー、こうやって会話するのかぁ…」
と思いました。


つまり。
その程度のこともわかっていなかったわけです(涙)。



そこへ…。
黒い馬(ナイトメアです)に乗った、
女性が一人通りかかました。
急に道の真ん中で叫びだしたフォードに驚いて、
歩みを止めたようです。


それを見た、フォード。 
こうなったら、なんでもいいや、
話しかけてみよう!
それがネットRPGだもんな!
ルールはわかんなくても、
会話は出来るぞ!
 と思います。
開き直りともいいます(汗)。


そこでフォードが話しかけた一言目は…、
「すいません、
教えてくれませんか?」
でした。
イキナリです。
前振りも何もあったもんではありません。


この唐突の申し出に困惑したのか、
相手からはやや間があって、


「どうしたんですか?何かわからないことがあるの?」



という返答が来ました。
それに対してのフォードは、こう言いました。
「…なんにもわからない、
俺、
なにしていいのか、
全然わかんねーんだ!」
つまり、逆キレ、
しかも初対面の人に向かって(大爆笑)



今こうやって思い返してみても、
ありえない場面ですよね。
しかしこれ、
実話です。 


かなり後になってから、
その言われた本人がそう言っていたので
間違いないです(汗)。
そんなこと、言ったんですねぇ…、
今では考えられませんが。


すると、
そのメア乗りは、
「あははw」
と発言しました。
な、なんだよ、こっちはマジで困ってるのに…。


自分のぶしつけな物言いはちゃっかり棚に上げて、
フォードは思わずムカッときて言い返します。
「そうだよね、変だよね(苦笑)」



話しかけた以上、
何でもいいから教えて欲しいというのが、
そのときの心境です。
もう恥も外聞も、
気にしている場合ではありません。



「あの…」

「ああ、ごめんなさい、…ええと、戦士さん?」


「はい」


「そうかぁ、剣、使うの?」


「…だと思います」



これが、
UOでの初めての人との出会いでした。
このメア乗りが、
フォードのUOライフを決めていく、
メイジテイマーのZAXです。



このあと…
ZAXは、
戦闘方法、ご飯を食べること
などなどを教えてくれました。
かなり辛抱強く教えてくれた記憶があります。


ややあって、


 「ねえ、フォード」


「ん?」


「狩り、行ってみようか?」


と誘ってくれました。
覚えることだけに賢明だった私ですが、
さすがに少し動きたくなってきたので、


「…おう!」


と返事をします。


そうそう、
最初はこの
「狩りに行く」という感覚にもすごく戸惑いました。
モンスターを倒しに行くこと=狩りに行く、
というのはわかったのですが、
それが何かしっくりこなくて、
しばらく違和感を感じていたのを覚えています。



さて、ZAXとの初めての狩りですが。
その狩り場は、
ヘイブンの南にかかっている、
橋を超えた小島です。


でこそ、
そこにはリザードマンがいることを知っていますが、
当時は何も知りません。
とにかく何かしてみたい気持ちがいっぱいで
走り出します。


すると…
橋を渡りきらないうちに、
向こうからリザードマンがやってきました!


教わったとおり、
戦闘モードにして構えます!
ところが…
なぜかリザードマンは、
フォードを無視して、ZAXに向かっていきます。
この時、フォードは思いました!
野郎!
弱いメイジから
倒そうってんだな?
くー!RPGの定石だぜ!
 …最高に暴走勘違い野郎でしたねえ(笑)。


これが間違いってことは、
みなさん、お分かりですね。


この時のフォードはヤングなので、
フィールド場のモンスターはヤングのキャラには襲い掛かってきません。
ヤング保護です。
ですから、
一緒にいるZAXに向かって行っただけ…、
というのがこの画面の答えです(笑)。



とにもかくにも、
ZAXがピンチです。
フォードは戦闘態勢のまま近づき、
懸命になって
リザードマンを何度もクリックします!


そう…。
最初の頃は、
相手を何回もクリックしないと、
攻撃が当たらない、
それどころか、
クリックすればするほど、
当たるもんだと、信じ込んでいました。
よって、
ウチのマウスが
ありえないほど、
連打される状況が続きます(汗)。
そんなわけないんですけどね(笑)。


作成したてのキャラですから、
攻撃がとにかく当たりません。
リザードマンは、
まだ早過ぎたわけです。


しかし私の中では、
「ファンタジーRPGのリザードマンなぞ、
レベルの低い弱い敵」
という観念があったので、
正直驚いていました。
UOのリザードマンは、強い!
と。



まともな戦闘を初めて行いながら、
自分がいかに弱いかということを思い知らされます。


しかも戦闘の最中に、
っしゃああああああああああ!
と叫ぶフォード。
わざわざその台詞を、タイプしていました。
ロールプレイしていたんですねえ…。


戦闘が終わってから、


「どうしたの?急に叫んで」


とZAXが不思議がっていましたが…。


ちなみに。
このプレイスタイル、
つまり戦闘中に叫んだり、
街中で人と会話しているときにロールプレイ調に話す、
は、
当時非常に珍しがられました。


私としては、
せっかくのRPGなので雰囲気を出したい・・・、
という気持ちでやっていただけなのですが、
少々やりすぎた感があったようです。


しかし、
こういう言動が、
フォードというキャラクターを豊かにしていくものになりました。
まあ、
リアルな自分と差があまりないというのが真相ですが(汗)。



 さて。
やっとこさ、
リザードマンを倒しました。
途中でZAXのライトニングやヒールの魔法で助けられる場面がありましたが、
初めてUOでまともな戦闘を行い、
勝利しました!


ZAXは戦いが終わった後、
死体からルートする方法を教えてくれた後、
ゆっくりフォードのほうを向いて言いました。

「ねえ、フォード、
戦士は魔法使いを
守らなくちゃダメよ」


「魔法使いは呪文を詠唱する時に邪魔されると、
呪文が発動できないのよ」


「そ、そっか。わかった」


この一言は、
いまだに私の胸の中に残っています。


また、
こういう光景は、昔のUOならではモノだったといえると思います。



思えば、
これが最初のコンビ戦でした。
以降、
フォードに限らず、
私の操るキャラクターたちは時に相手を変えながら、
このようにコンビを組んで冒険をするスタイルを取るようになります。


その原型は、ここにあります。


そしてこの瞬間から、
私はこのZAXと共に、
戦士+メイジという、
狩りの基本的なユニットの
連携パターンを覚えていく
ことになるのでした。


ここからの経験が、その後のUO戦闘で
どれほど役にたったかは、
言葉に尽くせないほどです。



とにもかくにも、
やっとUOでの進め方を
ZAXに教えてもらい、
私はようやくUOでの生活を学び始めたのでした。
 
to be continued
 
  
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